日本禅宗史への扉

【味噌と醤油】

日本の代表的な調味料である味噌と醤〈ひしお〉(醤油の原型)は、中国、朝鮮から伝わり、8世紀頃には日本でも製造されていた。

 

日本国内で定着し普及したのは、無本覚心〈むほんかくしん〉(1207〜98)が、浙江〈せっこう〉省杭州の径山寺〈きんざんじ〉で造法を修得したという世に言う金(径)山寺味噌〈きんざんじみそ〉である。覚心は、建長6(1254)年に帰国し、紀州西方寺〈さいほうじ〉(後の興国寺〈こうこくじ〉)の開山となった。味噌の製法は近傍の湯浅に伝わり、名産となった。金山寺味噌は、なめ味噌の系統で、炒った大豆に大麦、茄子、瓜、生姜、紫蘇を刻み込んで混ぜ、薄めの塩水につけ発酵させたものである。味噌の製法過程で桶底にたまった液汁のタマリを使用したのが醤油の始まりと言われている。