良弘「走々」散文(陸上競技部部長として)

 

東日本の復興を祈りつつ、
駒大陸上競技部は王者駒澤の復活を期します!(2011.6)

 2011年3月11日、東日本を襲ったマグニチュード9.0の大地震は想像を絶する大津波を引き起こし、広範で巨大な被害をもたらしました。いまなお多くの方々が避難所生活を強いられ、福島第一原発の事故による放射線被害、さらには風評被害にくるしめられております。ここに、一千年に一度といわれるこの未曽有の大災害に遭遇され、帰らざる人となられました方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。あわせて、被災されました皆様に対しまして、お見舞いを申し上げ、また、一日も早く日々の生活を回復され、地域の復興を実現されますことをお祈り申し上げる次第であります。

 

 被災されました地域は、歴史的に曹洞禅の教えがとくに広く浸透した代表的な地域であり、駒澤大学の同窓も多く、陸上競技部後援会の会員の皆様も多くおいでになる、ご縁の深い地域であります。あらためて、皆様が力強い復興の第一歩を踏み出されますことを祈念申し上げる次第です。

 

 これまで、たいへんにお世話になりながら、さしたることもできない駒澤大学陸上競技部ですが、まことにささやかながら募金活動を実施させていただきました。この募金活動に対しまして、中学の女子生徒の方をはじめ被災地の皆様から丁重な御礼のお手紙とともに、かえって、激励の言葉をいただき、恐縮いたしております。

 

 駒澤大学駅伝チームにとりまして、被災地の皆様からの励ましの言葉は誠に光栄なことであり、何よりの力になります。

 

 このことを後援会の皆様にお伝えし、皆様の応援にお応えすることができますように、日々の練習と、高い意識の持続こそ大切であるという原点に立ち戻り、努力を重ねていくことをお誓いしたいと存じます。何もできませんが、駅伝大会でその努力の結果をお見せすることで、少しでも、皆様の復興日本へのお力になれますればと、存じます。

 

 今年の箱根もおかげさまで、総合3位の成績をキープできました。これもひとえに陸上競技部後援会の皆様の物心両面にわたるご支援のお陰です。ありがとうございました。2000年以来12年間で6回の優勝を誇る駒大としては、今年の3位には不満足の方もいらっしゃるでしょう。しかし、2年・1年生が中心の戦力としては、「次の箱根へ繋がる」3位であったと存じます。

 

 ここ2年はスタートで失敗しているので、1年生ながら実力派の油布君を一区に。3位の走り。花の2区の撹上君は順位を10位に落すが、強豪ぞろいの中ではまずまずの走り。3区の上野君は5位まで引き上げ、4区の久我君も5位をキープ。山登り5区は井上君、5位をキープしゴール。トップ東洋との差は3分25秒。本学の往路合計タイムは5時間33分15秒。監督の目標よりは1分10秒ほど早いタイム。しかし、天候や風向き等の条件がよく他のチームも早いタイムでした。

 

 復路6区は、昨年区間賞の千葉君。58分11秒。区間新記録。「山下りの神」(読売新聞)と絶賛されることに。順位も明治・東海を抜き、3位に浮上。7区の窪田君も区間賞の走りで、早大と1分56秒差。東洋とは32秒差まで迫る。8区は高瀬君、9区は4年飯田君、いずれも3位を守り、10区アンカーの後藤田君も3位のままゴール。

 

 復路の合計は5時間30分38秒で監督の目標より52秒も早いタイム。総合タイムは11時間3分53秒で、監督目標よりも2分も早いタイム。例年であれば優勝に十分なタイム。しかし、優勝の早大はこれまでの駒大の記録を大幅に破り、10時間59分51秒。好天候好条件もありましたが、スピード時代の到来です。強豪大学の底上げが、相当に進んだということです。

 

 今年度の駒大は、大震災の影響で4月2日の入学式は行われず、授業は5月6日の連休明けからになりましたが、会員の皆様に申すまでもなく、村山謙太・中村匠吾・大谷卓也の諸君をはじめ多くの優秀な新1年生が入学してきました。上記の3人はすでに5,000m、13分台に入っておりますし、とくに、村山選手は1万m、28分23秒18の記録を持ち、他の9人もすべてが5000m、14分40秒台以内のタイムの保持者です。

 

 5月14・15日、21・22日に開催された今年の関東インカレは2部1500mで、由布郁人選手(2年)がジョン・マイナ選手(拓大)を抑えて優勝、岸本朋紘選手が5位。2部5000mでは外国人選手2人に上野渉選手(3年)がついて行く展開となりましたが、途中でスローダウン。撹上宏光(3年)5位、由布(2年)6位、上野(3年)8位でした。せめて、日本人トップを狙うレースをすべきでした。

 

 2部10000mでは窪田忍(2年)4位、撹上(3年)7位、村山謙太(1年)11位でした。窪田選手は日本人トップでした。2部ハーフマラソンは昨年優勝の千葉選手は、終始レースを引っ張りましたが、ラスト2周で飛び出され、5秒差で2位。スローペースが原因でしょう。井上(4年)8位、久我和弥(3年)9位。両選手とも次第にトップ集団から離れました。今年の関東インカレは、窪田選手以外は、総じて、いまひとつの成績でした。期待の村山選手も一年生の中村選手とともに調子を取り戻してくるでしょう。

 

 今年度の駒大は一年生の加入で、早稲田・東洋大と戦力的にはほぼ互角となりました。早速、朗報です。6月25日のホクレン・デイスタンスチャレンジ深川大会で1万mを由布28分02秒46、撹上28分03秒27、窪田28分23秒61、久我28分32秒32、上野28分42秒89です。これまで、28分台後半にいた選手たちが27分台も窺おうかという勢いです。夏秋の走り込み如何です。大八木監督の指導に期待しましょう。

 

 さきの総会で会長・後援会事務局が交代されました。前会長・事務局の粕川鐵禅会長、山崎奎一事務局長、事務局の小倉英利師(庶務)、藤浪徹明師(会計)をはじめ八王子・日野市などの多摩地域を中心とされる事務局員の皆様には一方ならぬお世話を頂きまして、誠にありがとうございました。おかげさまで、箱根駅伝6回の優勝を果たし、全日本・出雲大学駅伝でも輝かしい成績を収めることができました。心より御礼申し上げます。

 

 そして、新しく児玉重夫会長、吉村明仁事務局長、宮川義典同次長兼庶務が就任されました。また、千葉県を中心とする新事務局員の方々にはよろしくお願い申し上げます。

駒澤大学陸上競技部は、道元禅師の「只管打坐」(しかんたざ、ただひたすらに打ち坐る)のみ教えに倣い、ただひたすらに打ち走ります。また、その中に、学ぶものがある、ここに建学の理念である「行学一如」の実践の一つの姿があると信じ、ただひたすらに打ち走り、精進に精進を、努力に努力を重ね、王者駒澤の復活を期す所存です。

 

 陸上競技部後援会の皆様の期待に応え、大学のイメージアップに貢献し、被災地の皆様、同窓の皆様や教職員の皆様、学生諸兄姉、ご父母の皆様、に勇気が少しでも多くわいてきますように頑張ってまいります。今後とも応援のほどよろしくお願い申し上げます。

 

駒澤大学陸上競技部 部長 文学部教授 廣瀬良弘