良弘「走々」散文(陸上競技部部長として)

 

箱根駅伝2010 −復路優勝、箱根は大学力アピールの大きな柱−

 駒澤大学陸上競技部後援会の皆様、お蔭様で総合準優勝、復路優勝を果たすことができました。皆様の文字通りの物心両面にわたる応援のおかげです。厚く御礼申し上げます。

 

 今年の箱根駅伝は、予選会を1位で通過したとはいえ、そのハードなスケジュールのためもあってか、すでに10月の出雲駅伝は10位、11月の全日本(伊勢路)でも7位で、ともにシード落ちし、1万m28分台の選手が2人も箱根に出場できなくなりました。「たら」「れば」は禁句ですが、2人のうち1人でも出場できていればと、悔やまれます。

 

 新春2日。1区、18位と出遅れました。昨年の悪夢が脳裏をよぎりました。今年の1区は、最初から縦長、スピード勝負の展開。1学年の後藤田君には不向きな展開でした。

 

 花の2区は4年間連続で宇賀地君。権太坂と残り3キロにきつい坂。しかし、15キロまでは、日大のダニエル選手より早いタイムです。最後の登りで、やや疲れがでたようですが、区間3位の粘りで5人抜き。さすが駒大エース。13位。3区は3年の飯田君。藤沢遊行寺の坂など下り坂ですが、ピッチが上がりません。4区の久我君は区間8位の走りで、13位をキープしつつ、前のチームとの差を縮め、頭を丸めて決意を示した深津君が5区山登り。昨年欠場のリベンジ。5人抜きを果たし、8位。明日の復路で場合によっては、3位を狙えるかもの知れないとの希望が・・・。

 

 復路6区、山下りは1年の千葉君。膝に負担がかかり、勾配が緩やかになる残り3キロでブレーキを起こす選手が多い中、なんと、区間賞で入ってきました。6位。しかも、5位・4位と1秒〜5秒の差。俄然、活気付きました。あるいは2位も狙えるかもと。7区は1年の撹上君。期待どおり、区間4位の走りで東農大と明治大を抜き、4位に浮上。8区は2年の井上君。区間3位の走りで、4位をキープ。しかも、上位校にぐっと近づきました。

 

 9区は4年高林君。下り坂、思い切って突っ込み、中大を一気に抜き去り、3位。山梨学院も抜いて2位に浮上、区間賞です。さすがキャプテン。10区アンカーは4年の藤山君。区間3位の走りで、2位でゴール。途中、足が痙攣するという緊急事態。大八木監督が二度ほど監督車から降りて給水。併走し、大声で指示を出す姿は、大八木監督ならではのことです。

 

 駒大は、18位から、ひた走りにひた走り、文字通り一歩一歩、順位を上げ、トップに迫り、復路優勝・総合準優勝を果たしました。選手たちのいぶし銀のような走りで襷をつないでいく姿は、シード落ちという13年ぶりの試練に耐え、日々精進に精進を重ね、予選会から勝ち上がってきた駒大チームの姿そのものです。日々の努力の姿・精進の姿が「箱根の走り」に自然と溢れ出る。それを目の当たりにして、感動を覚える、これこそ大学駅伝の真骨頂です。

 

 大学も厳しい状況の中、これで、また、一年が頑張れるという、大きな力を得た思いです。これらのすべてが大学教育の原点だと思います。もちろん、大学の柱は学問教育・研究とそれの社会還元ですが、もう一つの大きな柱がここにあると思います。受験生も増えました。駒大生らしい地道な力強い走りが好感をもって迎えられたのでしょう。この大きな感動を与えてくれた選手・監督・コーチ、走れなかったけれど、その分、選手を支えたスタッフ、マネージャーの諸兄姉。OB会・近隣・大学教職員の皆さん。そして、なによりも、物心両面のご支援を下さった陸上競技部後援会の皆さん、心より感謝申し上げ、御礼申上げます。

 

 なお、お蔭様で箱根が準優勝でしたので、出雲・全日本(伊勢路)のシード権も獲得できました。前4年生5人が抜けた現在、それを箱根までに補わなければなりません。大八木監督の指導力に期待したいと思います。5月15・16、22・23日の関カレではいま一つでした。本学は2部で、1500mで由布(1年)優勝、5千mで撹上(2年13:52,57)4位、由布(1年13;56,17)8位、1万mで久我(2年29;17,13)3位でトップと2秒弱差、ハーフで千葉(2年1:04:42)優勝、井上(3年)8位でした。2番手以下の選手の成績がいま一つでした。

 

 これに比して1部五千mでは国士大藤本(13:38,68)以下17位までが13分台で東洋が3人、柏原は12位。1万も7位までが28分台、ハーフも5位までが1時間3分台でした。駒大が箱根を戦うにはさらなる精進が必要であることを全員で確認し合いました。厳しい状況をお伝えいたしましたが、駒大チームもグングンと成長する素質を持つ選手ばかりです。心配はいりません。これからに期待してください。皆様のさらなる応援をお願い申し上げ、御礼と報告に代えさせていただきます。有り難うございました。

 

平成22年6月1日

駒澤大学陸上競技部部長 廣瀬良弘